めかしこむジョニーとめかしこまないデップのあいだ/カンチェルスキス
 
同化するまで。貨物列車に何度も轢かれたようなトウモロコシの皮でできたようなアディダスのこのシューズで。汚して、汚して、汚して、こっちが汚されてる気分になるまで、汚して。
 気が済んだら、「お疲れ様でした」と言って、去っていきたい。
 おれは勃起してしまっていたので、どうもエロだった。

 
 おれはおれのことを「喜捨」と呼ぶ女のことを思い出した。五年前のことだ。多毛の動くこけしみたいな女だった。おれは親しみを込めてこう呼んでた。『3−5−2ダブルボランチ』。略すと、『花沢さん』。 
 おれが花沢さんに惹かれたのは、多毛なところでもなければこけしなところでもなかった。多毛の動くこけしだっ
[次のページ]
戻る   Point(1)