雨の日だから会えた人/月山一天
 
が亡くなってからはとても苦労したらしい。
私は私でいつもは言わないような家庭の事や、仕事で今自分が置かれている状況等を話す。こうゆう事は何故か、見知らぬ人の方が話しやすかったりするのだ。

それもそう、この薄暗い部屋を出たらもう一生会わないだろう人。
でもこの人には人生があり、生活があり、
色々考える事もあり、感じる事もある。
この現実はとてもリアルで、それでいて非現実な世界。
全てが計算外、予定外、予想外の世界。

でも何故かうれしかった。
この人に会えて。
この人のことを少し知る事が出来て。

30分程しただろうか、雨がやみ
私は礼を言って外に出た。

夕焼けに
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