雨の日だから会えた人/月山一天
 
に入れと言う。そこまで言われて入るわけにも行かず、躊躇しながら渋々中へ進んだ。
家の中はと言うと、雨だからか薄暗く昼なのに蛍光灯がついている。古い作りだが昔の母の家を連想させるのか、なぜか心地が良い。
おばあちゃんは、軽く世間話をしながら「暑いでしょう。」と言って扇風機をわざわざこちらに向けてくれる。家の若い人達はみな外に仕事に出ていていないのだと言う。始めは、ぎこちなくただ、そわそわしていたが、だんだんと自分の置かれている不思議な状況が面白く思えて来た。
それからは、おばあさんが出してくれた麦茶とプリンを食べながら、色んな話をした。おばあさんの人生は決して楽ではなかったようで、旦那さんが亡
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