詩とメルヘンと私/umineko
みたい、あそこは)って言われた。
メルヘン。
中也の詩に「一つのメルヘン」というのがあるが、あれはたぶん一種の反語。川底に、水が、さらさらと、さらさらと流れていくさまを中也は書く。それをメルヘンと名付ける態度が私は好きだ。ちっとも、メルヘンじゃない。そこにあるのは、光。
暖かい作品は、だけど嫌いではない。殺伐とした慟哭や咆哮なんかよりも、むしろ好ましいと思ってる。もちろん、怒りや不満を詩にぶつける、というのはある意味正しいと思う。だけどそこで閉じているから。時々、息苦しくなる。そういった類いの作品は。
「詩とメルヘン」の掲載作品を読んでみると、どれも同じトーンで出来ていた。
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