詩とメルヘンと私/umineko
た。雨の窓辺かなんかで(想像)、恋人の手紙を待つ私(出来るか、んなもん)。踏み切りで小首を傾げて(だから?)、小犬の瞳を見つめる自分(見たことないし)。
きっと、私の生活の中にメルヘンがないのだ。ネット友だちは言う。(まーそれっぽく書くしかないんじゃない?)それができないから困ってるのに。
ネット上にも、メルヘンな詩は花盛りだ。悪くないな。やさしい気持ちになれるし。とやかく言う人もいるだろうけど、それさえ別に気にならない。
だけどさっぱり書く気がしない。
メルヘンでもなく、慟哭でもない。自分は何を書いているんだろう、と、時々思う。とても小さな物語を書いているのだろう。半径数メートルの世界。それさえも、コントロールできない自分。
太宰治の「桜桃」を、御存じだろうか。私はあの作品がとても好きだ。コントロールできない自己を、じっと見つめること。
私の中にメルヘンはいない。それを私は恥じたりしない。
私はこうして、ネットに立つ。
ただそうしていたいだけ。
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