花火/モーヌ。
とまで 不幸にしたくないって
口角を あげて ぎくしゃくと ほほえむ
きみの こまったような
セピアいろの ほほえみ と 沈黙が 好きだ
アップにした 髪から くだものの 清らかな
ほの甘さが 滴って いる
草花の意匠に かざられた 藍染のゆかたごし
きみのからだの 濡れた あたたかさに 触れると
ぼくはからだごと ずっと永い おもいでのように
甘く熟した 透明な 残光に 揺れる
酔っぱらった夜 愛されている きみの顔
そんなこと ぼくのほかに 花火だけが 知った夜
なにか たの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)