地に堕ちた青空の下。/朽木 裕
ない。
「腐れ縁」と云う言葉を僕は辞書で引いた事はないが縁が腐ったら
切れないものだろうか。それとも腐っても鯛という事なのだろうか。
腐っても縁。僕はそこ迄考えて漸く口を開いた。
「僕を屍体にしたのは君でしょうに、」
服装に反して薄い化粧の口唇が笑う。
「私は行き倒れてた君の周りに白線を引いただけだけど」
(…トマトジュースも頭からかけたじゃん、)
声にする前に彼女が口を開いた。
「二日酔いにトマトジュースは効くんだよ?」
数ヶ月前、彼女の手によって惨たらしい屍体の形状を取らされていた僕は
彼女の行動にそんな理由があった
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