地に堕ちた青空の下。/朽木 裕
際限ない目眩は青空を地に堕とす。
僕は二日酔いの痛む頭を抱えて低く呻いた。
「痛ぇ…」
時刻は太陽が南中高度をとうに過ぎ、僕の横には回収しそびれたらしい
可燃ゴミが、可燃と云う言葉の響きには
凡そ似つかわしくない生々しさでもって異臭を放っていた。
「痛ぇし臭ぇ…何、」
(何だって路傍に捨てられてんの、)
後半部分を口にする前に西陽の中から声がした。
「屍体ごっこの次は可燃ゴミごっこ?」
声の主は自らの骨を虐めているとしか思えないピンヒールでもって
僕の靴底をなじった。美人ではあるが腐れ縁につき、今は見慣れてそうも感じない
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