或る蟻の葬列/朽木 裕
 
ければ多い程、部位は細かく…嗚呼。



目眩がしてきた。

足を組みなおす度ぎしぎし煩いパイプ椅子に沈み込む。
椅子の真下には夜の底が在って足を。

足を連れて行こうとする。



白い紙の中で死んだ文字らがさざめいて視界を狭く広くする。


一体、

何を、

しているのだったか。


終わらない会議。
時計の針のひとまわりが部屋の隅の埃よりも軽いようで。
目眩の中で死んだ蟻が運ばれてくる。
まるで回らない頭でぼんやり意識だけ葬列に参加する。


死んだ文字達の参列。


磔にされた文字が、死体が、
シニフィエとシニフィアンを行
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