停滞のリズム/カンチェルスキス
ャテリアみたいにおれの顔を覗き込んだ。おれは殺したいと思った。殺したらどうなるんだろうと想像した。殺したらこの子はどうなって、この子の親たちはどうなって、そしておれ自身どうなるんだろうとおれは思った。おれの妄想を打ち消すように誰かの笑い声が聞こえてきた。どこにいっても人がいて、おれが見たこともないことや聞いたこともないことについてしゃべっていた。
ショッピングセンターの外に出ると、体は軽くなった。酸素が増えたような軽さだった。
海沿いの道を歩いていった。雑草の空き地に扉の開いた電子レンジやタンスの引き出し、壊れたテレビなんかが無造作に放置され、湾岸線のオレンジの光に浮かんでいた。歩きだすう
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