停滞のリズム/カンチェルスキス
 
すうちに、ショッピングセンターを出たときの身軽さは消えていった。自分が形もない重さもないただの空気の流れのように思えてきた。
 どこをどう歩いたのか全然覚えてなかった。歩いてるときはわかってても、歩いた後じゃその道のりを思い出すことは難しかった。
 横断歩道を渡りきると、左折の車が流れ出し、おれの後ろでベルが鳴った。和風ファミリーレストランの前だった。食品コンビナートの仕事を辞めてから一年が経っていた。その間、この道を歩くことはなくなっていた。
 あの自転車の二人だった。手をつないでいた。おれは右にも左にも身動きが取れなかった。そのまま突っ立っていた。二人はつないでた手を離し、おれの両脇をそ
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