停滞のリズム/カンチェルスキス
 
のを見たり雨音を聞いたりするどんなことよりも、今日が雨の日だということを思い知った。そしてそのときだけおれは手をつなげない二人に対し殺意を抱かずに済んだ。
 二人は何かの象徴みたいだった。何の象徴なのかはわからなかったが、おれにはそれが何かに見えた。
 部屋に戻ってからもその残像が消えなかった。
 


 しばらくしておれはコンビナートの仕事を辞め、単発の仕事をする以外には何もしない生活をするようになった。前よりずっと部屋に閉じこもり、陰気に外をほっつき歩いた。服装も髪の毛も食事もどんどんかまわなくなっていった。前よりひどくなっていった。恐ろしいぐらい何もやらなくなっていった。誰ともし
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