停滞のリズム/カンチェルスキス
った。人を殺しても、ある意味、しょうがなかった。何の解決にもならなかった。殺せばまた次のやつを殺したくなるだけだ。自分を殺したとしても、殺した自分というものを確認できない。何もかも解放された自分をおれは確認しておきたかった。歩いてると、自殺と他殺の衝動が行ったり来たりした。ある瞬間、どちらの衝動もなくなり、今の感情が芽生える前の自分に戻ったような感覚になることもあった。でも、長くは続かなかった。元の二つのせめぎあいに戻り、早い話、おれはまるで生きてる心地がしなかった。
背後からベルが鳴る。自転車だ。いつも二人でやってきた。ちょうど和風ファミリーレストランの前だった。自転車で併走して
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