停滞のリズム/カンチェルスキス
に強固になっていく一つの過程でしかなかった。おれは何もかもうんざりしていた。
食品コンビナートでスーパーなんかに卸す漬物のパック詰めの仕事をしてるときだった。自転車で十五分ぐらいの距離に仕事場があった。ある日、自転車がパンクした。自分で直すことも、自転車屋に行って店のやつとやりとりすることも、思い浮かべただけで、うんざりしてきた。放棄した。直すことよりも、歩いて仕事場に行くことを選んだ。パンクした自転車はドブ川に捨てた。そっちのほうがおれには数倍楽のように思えた。歩いて一時間の距離だった。
仕事が終わって、和風ファミリーレストランの前を通り過ぎるのは、いつも八時半ぐらいだった。
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