誰も愛していない夜/松本 卓也
眠れない夜に思い浮かべる
最近いつもと同じ過去ばかりで
例えば遠い記憶の彼方で
笑いあっていた放課後
例えば笑顔も救えずに
怒号に屈服した苦い春
例えば抱き合う時でしか
感じれなかった温もり
秒針が十二を差すごとに
大切にしまってきた想い
一つずつ空洞を渦巻く
残ったのはいつも後悔で
何も活かしきれてないけど
たくさんの笑顔だけは鮮やかに
僕を閉じ込めて苦しめる
きっとそれは単純な
守ろうという誓いさえ果たせず
軟弱な木偶のまま過ごしてきた
僕に課せられた罰なのだろう
再び暖かな光に照らされた時
僕は守る事ができるのだろうか
少なくとも
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)