ある気功術師の悲劇〜この気なんの気気になる気〜/千波 一也
 

生き死には
太陽の行方は
月の満ち欠けは

豊かなくにでは新しきものが歓迎される
故きはたやすく滅びゆく


 この気、には
 もう飽き飽きしている

 なんの気、があって
 そんなにこだわり続けるのだろう
 ぼろぼろになってしまって
 みっともない

 身近な人なら尚のこと
 会ったこともない人であっても
 その暮らし向きや
 その他のさまざまが
 気になる

豊かなくにの流れは何処へと辿り着くだろう



ある気功術師は手をかざす
老爺の背中に
老婆の膝に
昔はこんなじゃなかったよ、と囁かれながら

ある
[次のページ]
戻る   Point(14)