ある気功術師の悲劇〜この気なんの気気になる気〜/千波 一也
か
生き死には
太陽の行方は
月の満ち欠けは
豊かなくにでは新しきものが歓迎される
故きはたやすく滅びゆく
この気、には
もう飽き飽きしている
なんの気、があって
そんなにこだわり続けるのだろう
ぼろぼろになってしまって
みっともない
身近な人なら尚のこと
会ったこともない人であっても
その暮らし向きや
その他のさまざまが
気になる
豊かなくにの流れは何処へと辿り着くだろう
ある気功術師は手をかざす
老爺の背中に
老婆の膝に
昔はこんなじゃなかったよ、と囁かれながら
ある
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