過呼吸の部屋/霜天
終わっていることなんて何一つ無いのかもしれないけれど
過ぎていったものを数えていくことが
明日までの時間を辿っていくことよりも
難しくなったことに気付いた頃
過呼吸する部屋に出入りの激しい君は
いつも大切なものを持て余し気味で
この部屋には置き去りにされてしまう
吸っては、吐けない
色んな物事が、堆積していく
私を、含めて
この先の坂道の下りきったところで
夏が終わっているらしいね
いつも寂しくなってしまうので
君は慌てて逆立ちを始める
そんな夏の底辺には
東京タワーだったものが埋もれているらしくて
時々にはそれに躓いて
誰も、気付かないでいるらし
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