王の退屈/知風
 
の貴族たちと聖乞食ボゥビィを除く、全ての退屈な国民が革命に身を投じたのだ。豊かな国土とおおらかな政策は、数限りないほどの退屈な民を生み出していた。

 おのおのが思い思いの格好ではせ参じたせいで、革命軍はまるで仮装したサーカスの一団のようにも見えた。おまけに、肝心の武器を持ってきた者はほとんどいなかった。

 一方、守るべき王がいない国王軍は当初困惑気味であったが、やがて騎士団長は仕方ないといった風情で兵を集めると、宮殿から二千歩ほどの<はしばみが丘>に陣を敷いた。ここを突破しなければ宮殿までたどり着くことは出来ない。

 王は一計を案じた。山に詳しい者たちをやって<消化不良山>の堰を
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