王の退屈/知風
 
から麦芽飴や子豚をかたどったプレッツェルを撒きながら、王は明日にはもう宮殿に戻ろうと心に決めていた。

 いったん宮殿に戻った後も時折、鍛冶屋や商人や税理士や聖乞食の弟子まで、王は様々な身分の者に身をやつしてみたが、結果は農民の時と似たり寄ったりで、いつも喝采と賞賛の声を背中に、憮然として宮殿に帰ってくるのだった。どういうわけか、どんなに楽しい仕事であっても、それが上手くいって皆に褒められはじめると、王は途端にその仕事が退屈に感じられるのだった。

 そんなことが続いたある日、この退屈の原因はこの国の政治家のせいに違いない、との結論に至った王は革命家になることを思いついた。

 王はさ
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