王の退屈/知風
、本当のところは、王があまりに熱心に仕事を求めるのでわざわざ主人が仕事を捻出してくれていたのであり、大方の畑仕事は主人とその家族だけでも事足りていた。
王は汗と土にまみれながら、生きるということはなんと忙しく、無限の仕事をこなさなければならない営みなのか、と感動していた。
あまりよく働くものだから、王は村で評判になった。なにしろ、王が村に来て二回目の収穫祭の天使さまの鎌ごっこでは、村の皆が王を刈ろうとしたせいで、王は皆の投げるわら縄でぐるぐる巻きになってしまったほどである。その後のパレードで、王はみこしに乗せられて村中を練り歩くことになった。
憮然とした表情でみこしの上から
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