王の退屈/知風
たな哲学的命題になりうると思いついたのだ。
王は彼から襤褸を受け取ると、それを纏って流れ者を装い、裸で黄金の鍬を抱えて満足げに地べたに座る聖乞食ボゥビィを残して<猫の舌裏河>の辺の村に向かった。そして、そこである農家の下男として入り込むことに成功した。
王は毎日、朝から寝る直前まで働いた。農家の主人は去年の収穫祭の<天使さまの鎌ごっこ>の折に使用人を幾人も取り逃がしてしまっていたので、農耕馬の世話から取っても取ってもきりがない<ひしまだらやどりぎもどき>をその胞子が放つ魚の臓腑(ぞうふ)のような悪臭と戦いながら刈り払う作業まで、全て王がやらなければいけなかった。といっても、本
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