王の退屈/知風
の間で宗教戦争が続いている。
他方、王の国では毎月十五日には王党派と議会派がクリケット大会で激しくぶつかり合うし、議会の席では急進派と穏健派がアプリコット酒の飲み比べで火花を散らす。収税役人は取り立てに赴いては取れ立てのラディッシュやズッキーニを持って帰ってくる始末だし、砂漠を渡る商人たちから税関が受け取る袖の下は外国の植物の描かれた切手や珍しい巻貝が関の山。何故この国はこうも何も起こらないのかと、王は帝王らしい不満に日々鬱々と過ごしていた。
あまりの退屈に、王はかつて農民になってみたことがあった。
議会は全会一致で王の転身に賛意を表し、記念としてダァリィ・ダァリィ・デ・フ
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