お茶目なゴリラはヨーデルがお好き/千波 一也
 
る哉

  ●メスなれど われはゴリラに 勝てはせぬ

  ●ときどきは ぼくの好みも 聞いてくれ

「青じそのドレッシングを頂戴な。」
と、
辞世の句を中断したものは
あざやかな五・七・五の調べ

お茶目なゴリラのナイスなオーダー

嗚呼、
敵いませぬグルメさま
ぼくは死ぬまで執事で在り続けましょう



「わたし、ばいばいが嫌いなの。」

確かに別れは辛うございますな
執事の物腰も板についてきた頃に
めずらしく彼女は
嫌いなものをうったえながら
窓の外を見つめている

  ひとからひとへ渡る言葉に
  ひとからひとへ渡るこころに
  必
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