お茶目なゴリラはヨーデルがお好き/千波 一也
 
走りながら酸味のきいたヨーデルを飲み干した
今度注文してみよう
値段はいくらだろう

「美味しいでしょ。」と、
ゴリラはお茶目な微笑みひとつ

それがぼくたちの出会いだった



「あたい、レタスが好きなのよ。」

ごく自然にぼくの部屋に住むようになった彼女は
相も変わらず主張をする
が、
今日の彼女は少しばかり横柄だったので
キャベツを与えてやった

エセ・グルメよ、思い知るがいい

主従関係を築くコツ、という著書でも出版しようかと
ニヤニヤしていたのも束の間
「ちょっと!」
呼び止められてぼくは青くなる

  ●ぼくの青 旬の野菜に まさる哉
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