あと八カ月/狸亭
おぜいの人々がよってたかって議論する。
大仕事であるからリーダーシップが問われるのである。
関係者がおおぜいいてしかも船頭もおおくて
アジアの経済情勢ともからんでこの大船はいまもって
幻のまま波間にただよいつづけているのである。
朝の通勤電車のひとごみにおされながら外をみている。
まぶしい夏の光に首都の不毛は今日もてらされて
来年の今頃はもうこんなふうにして
不愉快な汗をながしてはいない筈である。
東京駅丸の内口を出てまっすぐ歩くと和田倉門である。
濠をこえて緑かがやく外苑の広場のベンチにねそべって
良い気持そうにしている人々がかならずいて
朝飯らしいパンをちぎ
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