鎖帷子のおれ、癒され過ぎ。/カンチェルスキス
 
きた。腐りかけは何でもうまかった。まあ、でも、あれだ、これは単なるこじつけ発言だ。
 それにしてもレモン!
「まだわたしの質問に答えてないわよ、教えて。あなたが梶井基次郎さんかどうか」
「じゃあ、聞くが、おれはブ男か、それとも男前か。どっちだ?」
「そのままじゃわからないわ」
 畜生、とおれは思った。いい女だが、こいつは性悪女だ。おれの痛いところばかりついてくる。まあ、それも時には快感だったりするんだが、こんなときはだめだ。こんなふうに、レモンを右頬と右肩で挟んだりしてるときは、だめだ。
「どうすりゃいいのさ」
「縦にして見せて、あなたのお顔」
「いいか。おれは外交問題にたずさわっ
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