鎖帷子のおれ、癒され過ぎ。/カンチェルスキス
 
の王様なんて呼ばれるんだ。王様は元から裸。
「あの王様、裸だよ、お母さん」
「坊や、あの人は昔から裸なのよ」
 今に限ったことじゃないんだ。
 今晩のごはんはホワイトシチューよ。やった!ぼく、ホワイトシチュー大嫌い!
 こんなもんだよ、全部。
 おれはそのまま改札を抜けていった。すごい人出だった。花火がはじまると誰もが花火に夢中になった。こどもも大人も恋人も負け組OLたちも、みんな空を見上げ、ポン菓子を食い、瞬間の光に照らされた顔は生き生きとしていた。おれも見上げた。誰もおれが裸であることなんて気にしなかった。素晴らしい夜だった。ただ一つ、ケツの穴でフナムシがもぞもぞしてたのは気になっ
[次のページ]
戻る   Point(2)