鎖帷子のおれ、癒され過ぎ。/カンチェルスキス
きたての饅頭をケツに押し付けられたような感覚だ。最初は痛烈だったが、耐えてるとそうでもなくなった。でも同時に、何かよくわからないが明るい兆しの見える方向に導かれていくようだった。これが解放って言うのか。こんな感覚初めてだ。一種の快感だ。気分が高揚してきて、発作みたいな熱情にかられ、おれは一息に言った。
「‥‥‥‥‥‥おれは梶井基次郎さんでもあり、ザ・テレビジョンの表紙の人でもあるんだよ!!!!」おれは工場の煙突になっていた。「畜生!」
おれの右腕をつたい、人差し指の指先で消えたものがあった。
「そうね」女は冷静に言った。「その赤い金魚の覆面。それ取ってみないとわからないわね」
そのひと
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