彼女は死んだ/たたたろろろろ
のボトルに入った液状の漂白剤を一本買った。
帰宅して台所に立ち、漂白剤をビニル袋から取り出す。唯はこれを大量に飲んで死んだのだ。
唯が死んだ。
この漂白剤を見ていると、葬式に出ても通夜に出ても事情聴取を受けても全く気配すらなかった実感が湧いてくる。
テレビ電話の粒子の粗い画面。馴染み深い疲れた笑顔。唯が手に持っていた漂白剤。
その光景が頭から離れない。唯は何故、漂白剤を飲んでみたりしたくなったのか。何故そんな阿呆なことをしようと思ったのか、実行してしまったのか。
唯を殺した漂白剤と同じ物が、いま俺の手にある。俺はそれをミッキーマウスのグラスに注ぎ入れる。陽
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