彼女は死んだ/たたたろろろろ
が、あれは何だったのだろう。漂白剤を飲む前に、俺に電話したのは?
そういえば、唯はあの電話で『顔見れてよかった』と言った。付き合っていたときでさえ『けんちゃんの顔って全然好みとかじゃない』とセックスの最中にも平然と言っていた唯がだ。やはり何かあったのだろうか。飲みたくなったから飲んでみたら死んじゃった、という唯らしいオチじゃ終われないのか。俺に何かを訴えたかったのだろうか。俺が仕事中じゃなくて、いや仕事中でも、大事な唯のためにきちんと話を聞いていれば、こんなに馬鹿馬鹿しくもやりきれない、悲しい事にはならなかったのだろうか。
俺はふと床に目をやる。砕かれたミッキーマウスが漂白剤にまみれて、
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