無鉄砲の銃声/蒸発王
いラブレターなんて
空気の様に吸って吐いては
僕をケーキバイキングに誘った
そんな日々が続くと思ってた
さすがの彼も
本物の恋の甘さに勝てなかった
無鉄砲は鳴りをひそめて
すっぱり大人しくなった
僕は仕事が無くなって
皆は鳴かなくなった無鉄砲をなじって
其れが彼の恋人に向かう銃弾になった
ついに彼の無鉄砲の銃声が響いた
無鉄砲にも彼は飛び出し
かすり傷だったのか
全然平気そうで
無鉄砲だもの
と笑って
僕に病院までの
おんぶを命令した
そこで初めて
おぶさった彼の身体から
ひやりと冷たい血が
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