無鉄砲の銃声/蒸発王
 

ずっと溢れていることが判った

背中に揺られ
笛のような呼吸をしながら
彼は
今度皆で飲もうとか
お前は胃腸が弱いから仲間はずれだとか
『彼女』の名前とか
『僕』の名前とか

数え切れない無鉄砲を撃ちはなし

僕は汗だくになって
あごから滴る液体が
汗よりずっと塩辛い事に気付かなかった


重くなっていく背中

小さくなる声に比例して


彼の最後の銃声がこだましていた


いつまでも

いつまでも

こだましていた





『無鉄砲の銃声』


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