やまびとの散文詩(四)/前田ふむふむ
 

儚く息絶えていった。
遥か昔、わたしたちの祖先が来た道を
言い伝え道理に辿ってみるが
明らかに違う道を、わたしたちは勇んで、旅立ったのだ。
けれども、わたしたち誰もが、それを疑うことはしなかった。
俄かに、空が暗い雲で覆われ始めて
強い風とともに、赤い砂塵の中の小石が頻繁に、
わたしたちの頬にあたり、それを懸命に防いでいたが、
その辛い痛みは、ふるさとの山々の母の懐にいる
暖かさを想うと、忽ち、心地よい痛みに変わってゆく。

やまびとの散文詩 断片15

何年もの歳月をかけて、歩き続けたが、ついに伝説の地に
たどり着くことは無かった。食料は尽きて、
多くのものが病
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