やまびとの散文詩(四)/前田ふむふむ
美しい山々にもいるだろう山鳥のことが頭に浮び、
思わず熱いものが込み上げてくる。
やまびとの散文詩 断片14
わたしたちは、青々とした山々を目指すが
その山々が、何処にあるのかを知る者は、
伝説以外では、誰もいなかった。
わたしたちは、海びとたちに、青き山々の場所を
尋ねても、誰一人として、
教えてくれる者は、いなかった。
しかし、周到な支度をして自由を得たわたしたちは、
眼を輝かせて、躊躇すること無く、
いつ着くかも、知れない苦しい長い行程を
ゆかねばならなかった。
海猫が数羽、人懐っこく追いかけてきたが
大地が塩辛さを失うと同時に、砂塵に撒かれて
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