書かれた-兄/音阿弥花三郎
ていた。
時に奇妙な快活で
兄は子どもに話をした。
川を泳ぎながら
器用に潜り魚を獲った。
その川を泳ぐのは兄しかいない。
そのことが子どもには自慢でもあり
また誰にも知られてはいけないことのようにも思えた。
兄は奇妙な快活さで
獲った魚の話を子どもにした。
時に不測の不機嫌で
兄は子どもにあたった。
兄の投げた模型飛行機の部品が
子どもに飛んで来た。
部品は足をかすめただけだったが
子どもは泣き出した。
兄の姿がシルエットになっていた
部屋の隅に寝転がって
子どもは雑誌を広げていた。
それは普段読む雑誌ではない。
兄の物なのだ。
気がつくと兄
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