三重らせん/霜天
 
夜半
街灯の柔らかいスポットライトに冷たい風は吹いて
それでも少女は拒絶する
(何を、かは分からない)
優しい夜、ごとに
彷徨う足はなくせずに
寄り掛かりたい気持ちの始まりも
どこに根差しているのかを知らない


諦める言葉をノートに書き出せば
黒で埋まってしまいそうだったので
見なかったことにした景色を写真に残せば
アルバムはどれくらい必要だろう
いつから、とか
後付の理由の帰る場所を探しても
きっと両手では足りないから


窓際の、少しだけ静かな場所
ここにも誰かが息を伸ばしてくる
間違えそうな言葉を、慌てて飲み込んで少女は
右半分だけで笑ってみせる
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