突発即興詩会ログ/片野晃司
か、しかしそれがかみ合わせることのできる上顎がないこの空のことを無垢だと信じながら、白い雲を思い出と言う渇いた精液に見立て、いまだに桃井に射精する。今日も録音された声で笑い、二進法の言葉を信じつづけ、その結果として、青年と呼ばれるひとつの述語をながながしい午寝の中に殺してしまうだろう。
クリームスワロー、梓弓、
音聞く海に、大船の、
頼りし春も、ぬばたまの、
黒き翼もなかりけり。
黒き翼もなかりけり。
僕が出した手紙が帰ってきた。真っ白な手紙の上に刻んだはずの文字が、本当にあの時、自分の力によって押し付けられてできたものか、今は信じることはできない。つばめはこの春もやってこな
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