坂下さん/MOJO
で「お疲れ様でした」と彼女。店長から受領印をもらう間、ぼくのあたまは真っ白になった。何故彼女がここにいるのだろう。空気を察したのか店長がいう。
「あ、彼女ね。じつはこの店には万引きが多くてね。監視員として働いてもらっているんだ」
店長から受領印を貰うと店内に引き返す。やはり色っぽい話ではなかったのだ。彼女は万引き予防のためにぼくをマークしていたのだ。ぼくの風体からは、それは当然だったかもしれない。
カローラバンは工具類を積み終わり京葉ホームセンターを後にする。時刻は午後三時を回っておらず、黒川さんの提案で近所の片貝漁港の堤防で魚釣りをすることになった。いまはイシモチの投げ釣りのシーンズン
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