坂下さん/MOJO
 
日黒川さんがしたように汁を丼の白飯にかけた。
「太一くん。午後からはすぐに完了しちゃうよ。そうしたらカローラで船橋の事務所に帰るだけだよ。男の子なんだからそれまでに何らかのアクションを起こさないと」 
 坂下さんはいう。
「アクションって、どうすればいいのかな」
「まず話しかける。彼女、それをずっと待ってるんじゃないの?」
「そのことなんだが」
 黒川さんが応じる。
「どうも、様子を見ていると、そういう雰囲気でもないような気がする。あれは確かに太一を意識しているが、女が男を見初めるって感じとは違うようにも思えるんだな、おれには」
「黒川さん、おれもなんだか色っぽい感じはしないんです
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