坂下さん/MOJO
ットからハイライトをだして一本咥え、ぼくにも箱を差し出した。
「いや、そんなんじゃないです。そろそろ新しいジャージにしようと思っていたところ。あれ、接着剤でガビガビになっちまって、洗濯しても落ちないし」
「べつに照れることないじゃないの。おれが太一くん位のときは、女関係は結構盛んな方だったけど、あの子は地味でいいよ。尽くすタイプ。太一くんみたいなぶっきらぼうにはちょうどいいんじゃないの?」
「いや、そんなテレビや映画のような話になるわけないじゃないですか」
「そうでもないぞ。男と女ってのは些細なことがきっかけでくっ付いちまうもんだぞ。おれと女房とだってそんなもんだったよ」
黒川さんは言
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