あやしい一円玉自動はんばい機/atsuchan69
 
った。
「わかったわかった」
 おつりをポケットにしまい、ぼくはけむたい顔でこたえる。
 さて、一円のレモンソーダは、けしてまずくなかった。いや、ほんとうに、百二十円はらってもおかしくない味だった。
「どう? おいしかっただろ」
「うん」
「また来てね」
「ああ」
 つぎの日、またつぎの日もぼくは一円玉自動はんばい機でジュースを買った。そのうちジュースを買うのが目的じゃなく、一円玉自動はんばい機と話すのが目的でそこへ通うようになった。
「どうだった、テストのけっか。いい点数とれたかい」
「百点とれた、おまえが言ったとおりの問題ばかり出たぞ」
「そうかい、そりゃあよかった。――
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