想う、描く世界の/霜天
imagine
想う通りに彼女は
地図を描き大勢の人を生み乱立する街を生やし
たくさんの声に紛れて海に
消えた
ゆらる、君の
なんだろう、ね。覚えたての匂いの尊さ
滑る丘に咲いた花の白い揺れる群れに混じって
蝶が空へ帰っていくこと
あれには人が乗っているから
今日も誰かが生まれていくのかもしれないね
そのままで彼女は
遠い国の戦争の話を朗読する
想う通りに
イメージ
描き続けるだけでは疲れてしまうから
それを直す手が欲しい
(虹色ばかりではきっと欠片にもならないから)
彼女は
無数
ただ消耗していく思い出話を
蓄えることを知って
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