家族譜/音阿弥花三郎
 

そのために兄には筋肉が必要なのだ
しかし湿地の町に落下してしまうのだ

姉と呼ばれる者 それは隠す者だ
姉は墓地に隠した 血にまみれた勾玉を
恋人たちにまみれ 
まみれた生活を隠す

子どもは湿地帯に産み落とされた
父と母は祝福し
兄と姉は失笑し
子どもは家族の唾にぬれて
家族となった


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ひと月ごとに母は卵をつくり
日をおかずに父は精液を奔出させ
とめどない二人の行為は
とめどなく醜い子どもを産み続ける
産まれた子どもは葦の揺り籠の中で
水鳥の鋭い視線からまぬがれた
あるいは堕ちた鳥に連れ去られた

兄と姉の囁く声が部屋の空気を縫っ
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