遺灰/前田ふむふむ
、
別の色彩を放っている、わたしの
水のように流れる掲示板は
書かれたものの上に、次々と書き足されてゆく。
重なり、埋め尽くされてゆくものは、
比喩をなして、芳醇な意味を変えていくのだ。
わたしは、か細い声を上げて、
失われてゆく少年のような時間の匂いの、
朝の意匠を味わい、
世界が漆黒にしたページの上の思想に、
赤い×の目印をつけてペンを沈めても、
あなたの渺とした季節は、何処までも変転して、
つかむ袖さえ、持ち合わせていない。
上目ずかいに見るあなたのいのちが、
逃げてゆく海原のなかで、ざわめいている。
わたしは、水底で燃え盛る骨壷の光沢を
湧き上がる空
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