人情と理論と説教/長谷伸太
。可哀想だと言った事を無かった事にしようとしているわけではない。可哀想だと一時でも思った事は真実だからだ。あとで思い直したとしても、その時の真実は変わらない。
少し話は変わるが、怒りを表面に出す人というのは抑えつけられる傾向にあるような気がする。悲しみを出す人が横にいるときは、あれこれと思案しその人の為に言葉や何やらを探したりするが、怒れる人には、怒るなよ、と、こんなもんである。それでいて、怒りの裏に悲しみなんかが滲み出たように見えたような気がしたとたん、言葉やら何やらを探しはじめたりする。怒れる人は、周りが見えなくなり人に不快感を与えると言った人がいた。しかし、悲しむ人も周りが見えなくなって
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