殺人現場にミッキーがいた/カンチェルスキス
 
かし、ダーツがうまく投げられないのには閉口した。動物園のゴリラがヒステリーを起こして、見に来てるやつらに自分のクソを投げつけるような投げ方かソフトボール俗に言う女投げみたいな投げ方しかできなかった。ダーツの真ん中に当たるわけがない。冷蔵庫のまわりに散らばったダーツを拾い上げるときも、どうも天井が見えてくる。というか、ダーツをつかむと、我々は天井を見ているのだ。ダーツも
うまく拾えないし、さすがに天井にも興味は失われてくる。物珍しい女と会って、実際つきあうにつれて平凡な女でしかなかったとわかってくるときと同じ気分だった。こんなにも天井をじっと見たことはなかった。
 なんでだろうと我々は考えた。寝
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