カレーショップであなたに愛を告りたかった/恋月 ぴの
カレーライスが食べたかった
あなたと通った高田馬場早稲田通り
夕食にはちょっと早すぎたけど
なにげにカレーライスが食べたくなった
あなたの好きな福神漬けをたっぷり乗せて
おひやをスプーンでかき混ぜたかった
カレーショップの丸いすに腰掛けたかった
カウンター奥のいつもの丸いす
クッションは誰かのようにへたれてた
大きな穴をふさいだガムテープのはしっこで
いつまでもべたべたするはしっこで
陣取り合戦のように小指と小指を絡ませて
ふたり仲良く丸いすに腰掛けたかった
あなたはいつでも自販機の前で悩んでいた
ポークにしようかチキンにしようかとか
大盛りにしようかどうしようかとか
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