グレート・ノベンバー おわり/長谷伸太
いっしょに遊んだりご飯を食べたりできないのは寂しくて、別れはつらいとも思いました。太郎君はその日、全身の土の汚れのためにお母さんからこっぴどくしかられました。
そして今日は、一月一日の早朝です。太郎君は秘密基地に行きました。もちろん、一人でです。
「まだ、全然夜だ。日の出前って、こんなに寒いんだ」
寒いのは冬だからです。日の出直前、もうすぐ朝だというのにあたりの景色はまるっきり夜でした。それから数分後、廃棄された車のあいだから日が昇ってきました。コップの水が溢れるみたいに、それまで暗いだけだった景色にみるみる色がついていきました。木の色、土の色、草の色、あの白い太陽の光は一体どん
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