ろくでなしの詩/恋月 ぴの
鉢植えの花が咲いていた
色とりどりの花々が咲いていた
しかし どいつもこいつも嘘っぱちに思えて
可憐な花びらをえいっとばかりにつねってやった
花の香りに誘われて蜜蜂が飛んできた
蜜蜂が耳の周りをぶんぶん飛んだ
頭の中をうるさいくらいに飛び回った
《跳びます
《飛びます
わたしには跳べなかった
薄暗い体育館の片隅で挑んだ
もうひとつの人生と言う名の跳び箱
踏切板の硬さに負けて
頑なな世間の冷たさに負けて跳べなかった
幾度か繰返してはみたものの
うまく着地出来なかった
安らぎと言う名の着地点に
《跳びます
《飛びます
「無理して飛ばなくとも良いのだ」
荒れ地を拓
[次のページ]
戻る 編 削 Point(14)