ろくでなしの詩/
恋月 ぴの
を拓く手を休め あのひとは言った
赤土にまみれた大きくて厚い爪だった
首にかけたタオルで額の汗を拭った
(土着してみなよ
(明日を耕せば判るさ
けれど わたしには拓くべく荒れ地など無かった
耕すべき明日など無かった
せめて 鉢植えに咲く嘘っぱちの花となり
あなたにつねられるのを
今か今かと待っていよう
身悶えしながら待っていよう
何処からか蜜蜂が飛んできた
耳の周りをぶんぶん飛んでいた
頭の中をうるさいくらいに飛び回っていた
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